クラシックギターという楽器
アコースティックギター
フォークギターとの違いはなんだろう?
定義は様々あるみたいですが、
11月の音の葉の夕べのゲスト伊藤亘希さんは
クラシックギターを
「クラシック音楽を奏でるギター」と定義しつつも、
「クラシック」と名乗ることには抵抗があると続けます。
「ギターは、他の弦楽器や弦楽器のような
西洋音楽の道筋からは少し外れています。
ギターはオーケストラにも登場しませんし…」
「自分もクラシックギターで、クラシック音楽以外を奏でることも…そう考えると、クラシックギタリストと名乗っていいものなのかと。」
どうやら、クラシックギターの置かれた立ち位置というのは
他の楽器に比べて少し異質なもののようです。
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クラシックギターは、今とは少し異なる姿形で
16世紀、スペインのとある民族の間で誕生
その後、徐々に市民権を獲得していくが、
その過程、大きく分けて2つの「黄金時代」と称される時代があると、伊藤さんが教えてくれました。
その2度ともが、
いずれもスペイン人の演奏家によって創られたと。
中でも、2回目の黄金時代の創出者
アンドレス・セゴビアが与えた影響は計り知れず
ギターがそれまでサロン中心に演奏されていたのが、
大きなコンサートホールで演奏されるようになったり、
作曲家に曲を書いてもらうよう委嘱し続けたり、
彼の演奏、存在によって
クラシックギターの知名度は一気に高められた。
演奏スタイルにおいても
現代の演奏家誰しもがどこかしらでセゴビアの影響を受けている
とも言われるような影響力があるようです。
ただ、セゴビアの存在、演奏スタイルに
これ以上ないほどのリスペクトしたうえで、
伊藤さんは次のようにも聞かせてくれました。
「これまでは、ギターでバッハやシューベルトの旋律を演奏する際、ギターらしい演奏がよしとされてきたし、聴く方もそういう音を求めてきたんです。
ただ、もっと
バッハはバッハらしく
シューベルトはシューベルトらしく演奏出来るんじゃないか。
これまで積み上げられてきた
ギターらしさのようなものから一度少し離れることで、
ギターの世界を拡げることが出来るような気がして。
現代の海外の演奏家の音を聞いて
自分が演奏したいのはこういう方向だ!って思ったんです。」
また、このようにも教えてくれた。
「クラシックギターは他の楽器が何百年と辿ってきた歴史を
ごく短期間で歩んでいる。
だから、これから先の可能性が存分にある楽器だと思います。」
ただ、ギターらしさから離れるということは同時に
聴くほうに当たり障りの無い音に聴こえかねないようで、
「なんであえてギターで演奏する必要があるの?」
と、他人から問われる機会が増え、
そして自らも問い直す機会が増えたといいいます。
今回の音の葉の夕べで伊藤さんが演奏してくれるのは、
ギター黄金時代のちょうどその狭間
19世紀ロマン派時代のギター曲
リスト、シューベルト、メンデルスゾーンの旋律の影響を受けた
メルツ、レゴンディという2人のギター奏者の曲
いずれもラテン系の要素をあえて外したプログラムです。
クラシックギターはどんな音を奏でられるのか
伊藤さんの奏でる音に
一緒に耳をすませてみませんか。音の葉の夕べ
日時: 2014年11月27日(木) 19:30~20:45頃
参加費: 2,000円(ワンドリンク込み) *ぶんじ、使えます。
中学生以下 1,000円
定員: 15名
進行役: 今田 順
お申込み: メールかお電話にてご予約承ります。
info[at]kurumed.jp / 042-401-0321(9時~23時までOK)プログラム
・メルツ ハンガリー幻想曲
・メルツ 吟遊詩人の調べ
・レゴンディ 序奏とカプリス
など
ギター:伊藤 亘希(いとう・こうき)さん
埼玉県生まれ。
12歳よりクラシックギターを始める。
筑波大学を卒業し、これまでに高橋貞晴、坪川真理子に師事。
第44回クラシカルギターコンクール第3位。
クラシックギター生演奏の魅力を伝えるため、カフェ、レストランなど身近な場での演奏や、コンサートの自主企画など、精力的に演奏活動を行っている。これまでの音の葉の夕べ
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一つの音でうたう ~田口裕、チェロ:音の葉の夕べ(10/16)~
サックス、2つの世界 ~赤木俊祐:サックス(9/25)~
しゃべるように叩く ~三矢真之:パーカッション(8/14)~
天からの声 ~小武内茜:ファゴット(7/10)~
ドイツの美しい曲 ~高橋亜侑美:ピアノ(6/5)~
バッハと棒人間 ~日野真奈美:フルート(5/22)~
シャコンヌの夜 ~星野沙織:ヴァイオリン(4/17)~
ウィリアム・ギロック ~新明知美:ピアノ(3/27)~
寄り道 ~下払桐子:フルート(2/20)~
みなさまのお越しを
お待ちしております
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離れることで奏でられる音 ~クラシックギター 伊藤亘希:音の葉の夕べ(11/27)~
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