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トマト王子 と イマダ=マシロヒ 第二話

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<第一話はこちら

 

さあ

トマト王子とイマダ=マシロヒの

「世界で一番おいしい」

トマトジュースづくりがはじまりました。

 

王子 「イマダ、ぼくに考えがある」

イマ 「さすが王子、どんなアイデアか

    聞かせていただけますか」

王子 「うん。『世界で一番おいしい』

    トマトジュースをつくるには

    やっぱり『世界で一番おいしい』

    トマトを使うことが大事だと思うんだ」

イマ 「確かに。それは道理ですね。

    ですが、そんなトマトのあてがありますか?」

王子 「うん。ぼくらの王国は

    その名の示す通り、トマトづくりがさかんだ。

    そしてその中でも、名人と

    言われる人物がいてね」

イマ 「へえ、そんな方が」

王子 「うん。エノ=キードと言ってね。

    まだ若いんだけれど

    王国中のトマト職人が認める存在なんだ」

イマ 「それは!

    力を貸していただけたら心強いですね。

お会いしに行きましょう!」

 

 

善は急げと

2人はすぐにエノ=キードのところを訪ね

トマトを食べさせてもらいました。

 

2人 「おいしい!!」

 

食べた瞬間に広がるトマトの香り

甘み、そしてしっかりとした酸味。

 

2人とも、夢中になって

地面に汁を滴らせながら

気がついたときには、一つ食べ終えていました。

 

2人 「これこそまさに

『世界で一番おいしい』トマトに違いない。

このトマトがあれば

   きっと、おいしいトマトジュースがつくれるぞ!」

 

2人は、プリっと赤く熟した

いっぱいのトマトを抱え

意気揚々とクルミド王国へと向かいました。

 

でも話はそうかんたんではありませんでした。

 

 

世界で一番おいしいトマト

そして、イマダのともだちには

とてもおいしいレモンをつくる者がいましたので

おいしいレモン

さらには、おいしい塩

これらを組み合わせれば

世界で一番おいしいトマトジュースができる!

 

そう考えて

つくってみたものの…。

 

できあがったものは

確かにおいしいトマトジュースでした。

それはまちがいなかったのですが

ただ、世界で一番おいしいかと言われると…

2人も自信をもって答えることは

できなかったのです。

 

2人は、トーマス・トマティーヌⅢ世に

飲んでみてもらうことにしました。

 

トマ 「おっほん。おいしい!

   これは確かにおいしいトマトジュースじゃ。

   エノ=キードのトマトを使っておるのじゃろう?

   野菜のすがすがしさと元気さがあって

   それでいてほっとする味わい。

   さすが、エノ=キードのトマトじゃ」

王子 「王様、ありがとうございます。

    そうなのです。

    加えて、塩にもレモンにも、最高のものを

    使っております。

    ただこれが世界一おいしいかと言うと…。

トマ 「おっほん。そうじゃのう。

    まだそうは言えんように思うのう。

    ほっほっほ。まあ、あせらず

    納得のいくまでやってみるがよいぞ」

 

それ以来、毎年6月になると

トマト王子とイマダは

おいしいトマトジュースづくりのために

没頭することになりました。

 

いや、ほんとうは6月だけではありません。

2人はちょくちょくラインし合っては

「世界で一番おいしいってどういうことか?」

気づいたこと、思いついたアイデアを

意見交換するようになりました。

 

ときには、「クルミドの朝モヤ」に参加して

この問いをその日の参加者に

ぶつけてみたことだってありました。

 

 

2人が次に考えたことは

見た目やデザインのことでした。

 

どんなにおいしい料理でも

器が貧しければおいしく見えないですものね。

 

グラスをシュッとした

少し高めのものにしてみたり

塩をグラスのふちにぬって

おしゃれな感じにしてみたり。

 

 

さらに温度のことも考えました。

 

なにせクルミド王国の6月は夏です!

お店にくるお客さんは

冷たいものを飲みたがるはず。

 

飲食店では

お客さんのニーズを想像すること

そしてそれに応えることは

とても大事なことです。

 

最初につくったトマトジュースは

常温のトマトをジュースにして

そこに冷凍したトマトを入れる形でしたが

それをひっくり返して

冷凍したトマトをジュースにして

その中に、角切りのトマトを入れる形に

つくり変えたのです。

 

 

さらにさらに

料理はエンターテイメント!と

お客さんがこれまでに

飲んだことがないようなこと

楽しく、驚きがあることをめざして

シュワシュワの

トマトスカッシュ

つくってみたりもしました。

 

 

どれもこれも

2人が知恵をしぼって

たくさんの試行錯誤をした上での

自信作ではありましたし

お客さんも

よろこんでくれているように見えました。

 

でも、2人には

これが世界で一番おいしいトマトジュースだ!と

確信できるものではなかったのです。

 

(つづく)  <第一話


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